今日、福岡は、全国的に見ても東京、大阪、名古屋に次ぐ有数のデザイン都市です。 福岡地区のデザイン専門学校や大学のデザイン科は多くの優秀なデザイナーを輩出し、卒業後は、それぞ れの職域で研鑽を積み、九州・福岡地域のみならず全国的、世界的な規模で活動しています。

21世紀に入り、社会・経済は著しい変化を遂げ、少子・高齢化が進行し、人々の考え方や暮らし方も大き く変わって来ました。このように世の中が激変していく中、生活や社会や企業活動などにおける問題解決 の有効な手段として、デザイン・コミュニケーションへの取り組みに大きな期待が寄せられ、デザイン分 野の役割りは益々重要になっています。

この時代の要請を反映して、経済産業省が打ち出したデザイン政策の3本柱(「デザインと経営」「デザ インと教育」「デザインと国際化」)の推進、(社)日本グラフィックデザイナー協会( JAGDA )のグ ラフィックの枠を超えた活動や、さらには近畿経済産業局、大阪・総合デザイナー協会、デザイン都市・ 神戸、名古屋・国際デザインセンターなどが、他に先駆けて説得力を待つ具体的な活動を進めています。 (「福岡デザインアクション」設立の背景)

しかし、残念なことに私たちの地元福岡においては、1990(平成2)年、桑原敬一福岡市長時代にデザイ ン都市宣言を行って以来、FUKUOKAデザインリーグへの支援事業と、1993(平成5)年に設立された、 福岡県産業デザイン協議会のそれぞれの年次の活動を展開するに留まっています。 とはいえ、現在福岡地区を中心に、グラフィックから建築関連まで幅広いデザイン関連の民間団体も数多 く組織され、各分野において積極的な活動を展開しています。

ここで私たちは、今一度、将来性の高いポテンシャルを持つデザイン都市福岡が、国内においてさらなる デザイン先進地区として、またアジアとのデザイン的交流がもっとも身近に開かれているデザイン先進都 市としてあり続けるための研鑽を一層積まなければならないと考えます。

そのためには、九州・福岡のデザイン界 (グラフィックから、プロダクト、建築の分野までを含む)の 戦前や戦後の活発な活動をきちんと知ると同時に、今日のデザイン都市としての目覚ましい発展の背景と 状況を明確にして、これからの将来展望を見透すことが重要です。